Thinking Path
僕という編集者の考え方


原稿を疑い、自分を疑い、そして著者を信じよ!

 原稿を疑いなんて書くと「おいおい、それはないんじゃん」という話になると思うが、編集者としては「著者は信じても原稿は信じてはいけない」のだ。だから、最低でも著者の原稿を疑えるだけの知識は持たなければいけない。それが類書を読むことであり、著者の既刊書籍を読むことである。

 特に気をつけるのは、初校、再校に入れられた「赤原稿」だ。さすがに最初の原稿を全面的に信じることはないだろう。だが原稿量が少ない初校、再校に入れられた赤はそのまま直してしまいがちだ。だが、著者とて人。原稿を書くよりも、初校、再校を見る時間の方が少なければ、調査する時間も少ないはず。締め切りも厳しい。よりミスが出やすい状況なのだ。こういう状況でこそよりチェックは厳しくしなければならない。

 さらに、やっていけないのは、その疑った結果をそのまま反映させてしまうことだ。疑うのはいい。だが、原稿は著者のものである、自分で調査したからと言ってそれが必ずしも正しいとは限らない。あるいは意図的に違えている可能性もある。何しろ、著者より断言できるほど知識量があるなら、自分で書けるはずだ。直した結果は必ず著者に見せ、著者の了解をとること。これが大事である。原稿は信じなくても著者は必ず信じよう。


(c) 2000, Kenji Yamashita
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