| デザイン講座 > レイアウトの教室 > 第1回 |
バランス配置と印象について
“見てくれなんてどうでもいい、大切なのは内容”。
うーん。それも確かに正しいけど、あまりにも読む気をおこさせないデザインや可読性の悪いレイアウトでは、その大切な内容だってきちんと人に伝えることができなくなってしまうと思いません?
ここでは“美しくわかりやすいレイアウト”をするための基礎を考えてみます。美しさとわかりやすさはどちらかが欠けてもダメ。で、まず今回は平面構成のバランスということなんだけど、とりあえずホームページのことは考えず、紙の上でやってみましょう。その方が自由度が高くて分かりやすいからね。
さて、それでは私たちはいったいどういうレイアウトを“美しい”と感じるのでしょうか。「バランスがいい」なんて言い方をするけど、平面上でバランス(つりあい)が取れているって、どういうことなんだろう?
ちょっと調べてみると、数学や幾何学の世界では「美しさ」の定義とも言えるものがいくつかあるようです。例えば黄金分割という約5:3の比率は、古代ギリシャ時代から建築や彫刻などに利用されてきました。現代でも名刺のタテヨコ比なんかがこれに近いね。また、A4やB5といった規格サイズは√2の矩形といって、半分に分割していってもタテヨコ比が変わらない安定性が特徴です。しかし、いちばんよく使われるのは「シンメトリー」、つまり「対称性」が美しさの基本だという説です。んではここで、図Aと図Bを見比べてください。

次に図Cを見てください。センター揃えではないけれど、イラストと本文をそれぞれひとつの黒いカタマリとして見た場合、これも左右のシンメトリーになっていて、見た感じも安定しています。
つまり、シンメトリーは安定、安心、上品さを出すためのテクニックとして覚えてください。左右対称だけではなく、上下対称や対角線の対称でも使えます。ただ、ここで注意したいのは、「安定・安心・上品」は同時に「退屈」にもなりやすいということです。もしあなたが「動きのある・楽しい」デザインを望んでいたのだったら、この手は使えないかも知れません。しかし、シンメトリーをやみくもに壊しただけでは「楽しい」デザインになんてなりっこありませんよ。
それではシンメトリー以外の手法を探していきましょう。比較的近いものにアライメント(整列)があります。図Dは左から3分の1の位置に引いてある見えないガイドラインに5つの要素を整列させたものです。図Aに似ていますが、意図的に白地を作っているところが違います。意図的に作った白地は色面を引くことによって、さらに活かされてきます。図Eがその例です。どうですか? ちょっとしゃれた感じになったでしょ?
他には、リピート(反復)なんていう手もありますね。図Fではイラストをくり返し使うことで、ちょっとポップな雰囲気が出てきました。あとは、コントラスト(対比)があります。これはちょうどシンメトリーの反対にあたるもので、動きのあるダイナミックなデザインにはこの手法がよく使われるのです。図Gではタイトル文字とイラストを大きくして、色面も反転してみました。力強さが出てきたと思いませんか?
しかし、シンメトリーやアライメントは誰にでも簡単にできるのですが、コントラストの方はやってみると意外に難しい。対比させるといっても、どの程度差を付ければいいかがわかりにくいからです。コツとしては、思い切りをよくして大胆にやることかな。写真やタイトル文字をめいっぱい大きくしてみるとメリハリがつきますから試してみてください。
ほかにもまだまだいろいろな手法がありそうですが、ほとんどはシンメトリー、アライメント、リピート、コントラストの応用でできるはず。さらにこの法則を組み合わせてみると、思いがけない効果が生まれることもあります。ただ、最初はあまり欲ばらずに、目的を決めてレイアウトをしてください。
こんな感じで、同じ要素でもレイアウトによって受ける印象がずいぶんと違うことを理解してもらえたと思います。デザイナーは、読む人の“ぱっと見た印象”をコントロールして、興味をもってもらい、最後まで読ませて内容を理解してもらうわけです。
さあ、それではここで、あなたがレイアウトしようとしている文章の内容をよく読んでみてください。そこにはどんなことが書いてありますか? 楽しいことですか? 腹のたつことですか?誰に向けて書いてありますか? どんな場所で見てもらうのですか?
レイアウトをする上でいちばん大切なのは、見てくれる人の身になって考えること。次回は視線の誘導と文字の可読性について説明します。