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HDDの容量をPCが認識できないトラブル

200GBのHDDを購入したのですが、PCに取り付けても137GBと認識されてしまいます。どうしたらよいでしょうか?

(若生宣之さん)

HDDは容量が大きくなるたびに、実際の容量をPCが認識できないというトラブルに見舞われてきました。過去には2.1GB、4.2GB、8.4GBを超えると認識できないといった問題がありましたが(表参照)、最近のPCではそれらの問題は解決されています。しかし、160GBや200GBというHDDが発売されると、新たに137GB(128GB※1)という上限が問題となりました。今回はこの137GBの上限を解決する方法を解説します。

 HDDの容量認識のトラブルの原因は、BIOSのバグやHDDのフォーマット形式の違いなど、場合によってさまざまなものがありますが、今回解説する137GBという上限は、HDDを読み書きするときに必要となるセクタ(HDDの区画の最小単位。1セクタは512byte)の指定方式が原因となっています。

 解決方法に触れる前に、まず、このセクタの指定方式について解説します。現在のHDDは、LBA(Logical Block Address)方式でセクタを識別しています。この方式はHDD内のすべてのセクタに通し番号を振るというものです。しかし、少し前までは通し番号が28bit(228)分しか用意されておらず、512byte×228、つまり137GBがHDDを読み書きできる上限だったのです。

 そして、137GBを超える容量のHDDが登場したことにより、28bitのLBA方式では対応できなくなってしまいました。そのため48bit分の通し番号を割り振ることができる48bit LBA方式が用意されました。この拡張によりハードウェア上でのHDDの容量制限は512byte×248、つまり144PB(1PB【ペタバイト】=1,000TB=1,000,000GB)となったのです。この48bit LBAを使用するHDDの仕様は、HDDメーカーであるMaxtorが提唱したもので「Big Drives」と名称が付けられています。この48bit LBA方式は2001年の6月に登場したもので、それ以前のPCは当然対応していません。

 現在販売されているPCは標準で対応しているものが多くなりましたが、PC全体として見れば48bit LBAに対応しているものは少ないため、ご質問のような容量認識のトラブルが多くのユーザーのもとで発生しているようです。たとえば28bitのLBAにしか対応しないPCに200GBのHDDを接続した場合、パーティションを分ければ(120GBと80GBなど)200GBをすべて使うことができますが、200GBを1パーティションで使用することはできません。

●表 過去のHDDの容量の壁の要因と解決法

※1:
BIOS上では1Kbyte=1,000byteで計算されるため28bit LBAの限界容量は137GBとなるが、Windows上では1Kbyte=1,024byteで計算されるため、128GBと表示される。文中では便宜上137GBで統一している
※2:
http://download.microsoft.com/download/WIN98/Update/8266R/W98/JA/263044JPN8.EXE からダウンロード可能

 それでは、ここからは137GB以上のHDDを実際に使用する方法を解説します。もっとも手っ取り早い方法は、48bit LBA対応のHDDインターフェースカードや、USBまたはIEEE1394で接続する48bit LBA対応のHDDケースなどを利用することです。しかし、137GBを超えるHDDをマザーボードのIDEポートに接続する場合には話が複雑になります。条件として、まず、マザーボードが48bit LBAに対応していること。そしてOSなどのソフトウェアが対応していることが必要です。また、137GB以上のHDDを既存のシステムに増設して使う場合と、システム用のドライブとして用いる場合とでは条件が異なります。では、順番に解説していきましょう。

●マザーボードの対応

USB 2.0とIEEE1394の両方に対応した外付けHDDケース。増設に用いるならこの手のものが扱いやすい。写真は恵安のKA350C(恵安 TEL:03-5308-6120、URL:http://www.keian.co.jp/)

 マザーボードのIDEポートに137GB以上のHDDを取り付けてフルに利用するためには、IDEインターフェースコントローラを持つSouth Bridgeなどが48bit LBAに対応していなければなりません。Ultra ATA/100以前のIDE規格は基本的に48bit LBAをサポートしていないので、Ultra ATA/133以降に対応している必要があります(ただし、i810、i845やi865などのIntelの800番台のチップセットはltra ATA/100までの対応ですが、137GBを超えるHDDに対応可能です)。

 しかし、チップだけが対応しているだけではダメで、BIOSも48bit LBAに対応している必要があります。BIOSが対応していなくとも、OS上でIDEのドライバを入れると48bit LBAのHDDを認識できてしまうことがあるのですが、BIOSが認識しているHDD容量とOSが認識しているHDDの容量が異なることにより、HDDのデータが壊れる、またはHDDそのものが壊れてしまうことがあります。

 そのため、搭載しているチップの種類によらず、メーカーがそのマザーボードでの48bit LBAサポートをうたっていない場合は、48bit LBAのHDDを使うべきではありません。まずは、メーカーのWebサイトでマザーボードとBIOSの情報を確認しましょう。もし48bit LBAに関する情報が載っていない場合は、最新のBIOSにアップデートして、BIOS上で認識されるHDDの容量を確認してみてください。そこでHDDの容量が正しく認識されていれば、ハードウェア上では48bit LBAの使用に問題はありません。

●ソフトウェアの対応

 マザーボードが48bit LBAに対応していることを確認できたら、次はOSやドライバなど、ソフトウェア的な環境を整えます。ここでは既存のシステムにHDDを増設する場合を前提として解説します。Windows系のOSでは、基本的にWindows Me/98で使用できるFAT32、またはWindows XPとWindows 2000で使用されているNTFSのディスクフォーマット形式であれば問題ありません。

 ただし、Windows XPであればMicrosoftが配布しているSP1(Service Pack 1)を、Windows 2000であればSP3以降を導入している必要があります。OSにIDEのドライバを入れる前に、必ずこれらOSのアップデートを行なっておきましょう。Intel製の800番台のチップセットを搭載したマザーボードならば、IAA(Intel Application Accelerator、http://support.intel.com/support/chipsets/iaa/)というドライバを導入すれば、これらのOSでService Packを導入せずとも48bit LBAのHDDが使用できますが、Service Packにはバグフィックスや新しいデバイスに対応するためのアップデートが盛り込まれているため、導入しておきましょう。

 Windowsのアップデートが終わったら、(Windows Me/98はそのままでもOKです)最新のIDEドライバをインストールします。これはIntelのドライバ(IAAのインストールも含む)のほか、VIAやSiSのドライバでも同様です。以上の準備が終わったら、HDDのボリュームラベルの設定やフォーマットなどWindowsでHDDを使用するための作業を行ないます。

48bit LBA以外にも、最新のデバイスを有効に利用したいのならば、Windowsのアップデートは欠かさずに行なっておこう

●システム用ドライブとして用いる場合

 前述の方法では、Windowsをセットアップしてからドライバを導入するのでWindowsをインストールするパーティションの上限は137GBになってしまいます。しかし、Windows XPの場合はSP1適用済みのものが販売されているので、こちらを使えば137GB以上のパーティションにWindows XPをインストールすることができます。

 また、ほかの方法としては、PCIスロットに増設するタイプの、48bit LBAに対応したIDEインターフェースカードを利用する方法があります。SCSIのHDDにOSをインストールしたことがある方は経験があるかと思いますが、Windowsではインストールする途中に、FDDなどを用いてドライバを組み込むことで、HDDのインターフェースカードに接続されたHDDにWindowsをインストールすることができます。

 以上のように、マザーボードのIDEポートに137GBを超えるHDDを接続するためにはさまざまな条件があり複雑です。データの入った137GBを超えるHDDを、うっかり48bit LBAに対応していない別の環境のIDEポートに接続したりするとデータが破損してしまう恐れがあります。IDE接続のリムーバブルHDDケースを使う場合などはとくに注意してください。

(榊 元和)
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