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DOS/V POWER REPORT  Q&A COLLECTION
2003
月号

[Q]

マザーボードにはUSBブラケット用のピンヘッダが用意されていますが、ピン配列は各社共通なのでしょうか? また、配列が分からない場合、調べる方法はありますか?

(多良木 敬さん)

[A]

写真1:USBのピンヘッダ。9本または10本のピン一組で、一つまたは二つのUSBポートとなる

最近のマザーボードはボード上に二つ〜六つのUSB端子を持っている場合が多いのですが、それら以外にも、USB端子をPCケースの前面などに引き出すためのピンヘッダが用意されているマザーボードも多くあります。USBのピンヘッダは、9本か10本のピンが立っているのですが、残念ながら完全な規格統一はできていないのが現状です。ただ、最近発売されたマザーボードに関しては、ほとんどのものが「Intel Front Panel I/O Connectivity Design Guide」と呼ばれる仕様(以下Intel仕様)に準拠したピン配列を採用しており、それほどメーカーの違いを気にせずに接続することができます。ここでは、まずIntel仕様と、メーカー独自仕様の配列が、どのように違うのかを見てみましょう。

●Intel D875PBZ(Intel 875P)およびMSI KT4V-L(VIA Apollo KT333A)などで採用されている、Intel仕様のピン配列
・9番ピンを取り付けないことで、誤接続を防止している

●MSI Pro266TD Master-LR(VIA Apollo Pro266)およびMSI K7T Turbo2-R(VIA Apollo KT133A)などで採用されている、旧MSI仕様ピン配列(ユニバーサル配列)
・点対称にピンを配列することで、どの向きでも正常動作する

●GIGA-BYTE GA-6OMM7(Intel 815)などで採用されている、旧GIGA-BY TE仕様ピン配列
・10番ピンを取り付けないことで誤接続を防止。また、USB1ポート分のピンのみ用意されている

 このように、従来は各メーカーがそれぞれユーザーの利便性を考え、独自に配列を決定していました。しかし、製品ごとに仕様が異なると、部品の共通化ができないためコスト面で不利なことや、前面にUSBコネクタを装備したケースが一般的になるにつれ、仕様が統一されていないことが問題となってきました。

 マザーボード側のコネクタが統一されていない以上、ケースメーカーは幅広いマザーボードに対応するために、自由に配列できる状態(次ページ写真3参照)で出荷する場合がほとんどです。マザーボードもケースも新品で購入した場合であれば、それぞれの取扱説明書を読みながら接続することができますが、友人から譲り受けた場合やジャンク品を購入した場合などは、何の資料もないということもあります。多くの場合、マザーボード側にもケース側のピンにも、端子部分になんらかの刻印がされているはずなので、この記号の意味を以下に書いておきます。メーカーによって多少名称の違いはありますが、USB端子で使われる用語はだいたい次のとおりです。

・Vcc (+5V)
 PCの電源回路では、一般的に内部デバイスで使われる+5V電源を「Vd」、外部デバイスで使われる+5V電源を「Vcc」と表記しています。USB規格では、1ポートにつきDC+5Vの電圧、500mAの電流をバスパワーとして供給することになっているので、このVcc端子が必要になります。

・USB DATA +/−
 文字どおり、USBデータ用の配線です。シリアルデータ信号を直流電圧の変化で送るため、プラス側とマイナス側の2本の配線が必要になっています。

・GND (アース)
 Vccの+5Vや、各種電源に対する±0V=アース端子です。PCケースの電源ユニットはもちろん、マザーボードや各種デバイスのGNDとも接続されています。ただし、USB DATA端子は、シリアル信号を送るための電位差として+と−の極性を持っているだけなので、USB DATA−端子とGND端子は導通していません。

写真2:マザーボードなどに同梱される増設ブラケット用のコネクタ。差し間違える心配はないが、基本的に同梱のマザーボード専用である

 ほとんどのマザーボードメーカーは自社製ボードに関するある程度の技術情報をWebサイトで公開していますので、型番さえ判別できればUSBピンヘッダの配列も調べることができると思いますが、どうしても調べることができない場合の簡単な(?)裏技を一つ紹介します。ただし、この方法はかなり強引な方法ですし、失敗してハードウェアを壊してしまう可能性もありますので、実際に行なう場合はあくまでも自己責任でお願いします。またテスター棒を当てる際は、隣のピンと接触してショートしないよう、十分に気を付けてください。

写真3:PCケースなどに用意されているUSB用のコネクタ。どのマザーボードにも使えるが、ピンアサインを知らないと使用できない

1.アナログテスターを用意します(デジタルテスターでも可能ですが、信号ラインの抵抗値を測定しようとした場合、数値が小刻みに反応し過ぎて読みにくいことがあります。今回のように、大雑把な値を測定したい場合は、アナログテスターのほうが使いやすいことが多いです)。

2.マザーボードに電源が入った状態にします。テスターを“DC10V”などの直流の10V前後の電圧を計測するレンジに合わせ、マザーボードのGND部分(たとえばネジ穴の周囲やI/Oコネクタの鉄板部分)にマイナス側テスター棒を当て、プラス側テスター棒でUSBピンヘッダを一つ一つ測定し、「Vcc(DC+5V)ピン」を特定します。

3.続いてテスターを“kΩ”のレンジに合わせ、先ほどのDC+5V以外のピンヘッダを測定します。

4.kΩレンジでの測定で、針が振り切れるピンが「GNDピン」、針が真ん中辺りで安定しない二つのピンが「USB DATA+」と「USB DATA−」と判別できます。

5.この四つが確定したら、VccとGNDを間違わないように、そしてUSB DATA+/−は「正しいことを祈りつつ」USBブラケットと接続します。

6.PCを起動し、取り付けたブラケットにUSB機器(できれば壊れても惜しくないものを……)を接続してみます。

7.正しく検出され、正常動作すればOK! もしダメな場合は、USB DATAの配線を入れ換えて、再度チャレンジしてみましょう。

写真4:電源を入れたまま測定するので、ほかのピンには絶対に触れないように注意しよう

 USB DATAの+−をカンで接続するという強引な方法ではありますが、これならテスター一つでUSBピンヘッダの配列を調べることができます。筆者が実験した限りでは、USB DATAの+と−を逆に接続した場合、「不明なUSBデバイスとして検出されるものの実際には使用できない」という症状になるようです(マウスやスキャナで試してみましたが、筆者が実験した限りでは壊れることはありませんでした)。

 普段はなかなかマザーボード上のピンにテスターを当てることはないと思いますが、こうして自分で測定し、接続することで、より一層マザーボードに愛着が湧いてくると思います。

(NOBU)

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