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DOS/V POWER REPORT  Q&A COLLECTION
2003
月号

[Q]

AGP 8X対応のマザーボードが続々とリリースされていますが、昔のものと比べるとスロット形状も変わっているようです。どのような違いがあるのでしょうか?

(佐藤正博さん)

[A]

AGP(Accelerated Graphics Port)は、Intelが1996年7月に発表したグラフィックスシステム用のインターフェース仕様で、現在は2002年9月に発表されたAGP 3.0が最新のものとなっています。AGPはPCIバス規格をベースに考案されました。CPUとメインメモリ間のデータ転送を制御するチップセットに、ほかのI/O関係のバスシステムから独立して設けることをAGPは前提にしており、そうした実装を行なうことで、ほかのデバイスに影響を与えずに大量のデータ転送を行なうことができます。

●SiS648を採用したASUSTeKのP4S8X。AGP 8Xに対応しユニバーサルタイプのAGPスロットを持つ

 AGPのもとになっているのは32bit幅、66MHz動作のPCIバスであり、AGPの基本仕様である動作電圧が3.3VというのもPCIと同一です。また、AGPの基本動作モード(フレームモード)での最大データ転送レートも同じく266MB/sとなります。しかし、AGPではグラフィックスシステム専用という前提のため、ビデオカードからメインメモリにダイレクトにアクセスするときのプロトコルやその方法がPCIバスに対して拡張されて効率が上げられており、実質的にはPCIより高いスループットを実現しています。このため、AGPにはPCIバスの信号線に対する拡張としてサイドバンド信号と呼ばれる特別な信号線が用意されています。

 AGP 2Xではクロック信号の立ち上がりと立ち下がりの両端のタイミングでデータを転送する、いわゆるDDR(Double Data Rate)を採用して最大帯域幅はAGP 1Xの2倍の533MB/sとなっています。AGP 4Xではデータ転送のタイミングを決めるストローブ信号を増やして実質的に266MHzのタイミングでデータ転送を行なうことで当初の4倍の帯域幅である1,066MB/sを実現しています。そしてAGP 8Xではさらに倍の533MHzの動作タイミングでデータ転送を行ない、帯域幅は2,133MB/sとなります。AGP 8Xの動作タイミングが533MHzとは言っても、そのクロックの周波数は依然として66MHzのままです。

 動作モードに関しては、AGP 1.0でフレームモードとAGP 1X、AGP 2Xが規定されていて、AGP 2.0ではAGP 4Xが、最新のAGP 3.0ではAGP 8Xが規定されています。AGP 8XはIntelの最新のPentium 4用チップセットであるi845PE、i845GEには採用されてなく、次にリリースが予定されているチップセット「E7205(Granite Bay)」からサポートされます。AGP 8XについてはVIAのApollo P4X400やApollo KT400、SiSのSiS648、SiS651などが対応し、Intel以外のチップセットベンダーのほうがサポートに積極的です。

 また動作電圧については、当初PCIと同じ3.3Vでしたが、AGP 4Xでは1.5Vに、AGP 8Xでは0.8Vになっています。動作モードの対応はソフトウェア側でできますが、動作電圧が異なる場合動作しないので、AGPスロットには識別のための溝が用意されています。440BXのように古いチップセットでは、AGPは3.3Vでしか動作せず、現行のIntel製のPentium 4用チップセットは1.5Vのみとなっています。一方、溝のないユニバーサルタイプのAGPスロットも存在します。これは3.3Vと1.5Vの両方の動作電圧に対応し、またAGP 8X対応のマザーボードに実装されたものは0.8Vもサポートしています。

 ワークステーションクラスのグラフィックスアクセラレータが付加的な電力を利用できるようにするためにAGPの拡張仕様としてAGP Proがあります。AGP Proでは通常のAGPコネクタの両端に電源ピンを付加したインターフェースが定義されていて、12V電源による電力供給をサポートしています。このほか、温度制御機能や隣接するPCIスロットを最大で2本、電力供給や機能拡張のために使用できることを定めており、最大で110Wの電力供給をサポートします。AGP Proは、AGP 2.0やAGP 3.0を問わずに実装可能なものですが、AGP Pro対応のビデオカードはごく一部のものに限られています。

 新しい規格により帯域が倍になったからと言って急激にパフォーマンスが向上するというわけではありません。むしろ規格の変更により、過去のビデオカードが最新のマザーボードでは使えなくなってしまう場合があるという点にも注意するべきでしょう。

(Ta 152H-1)

●動作電圧が3.3VのAGPスロット(写真左)と、動作電圧が1.5V、0.8VのAGPスロット(写真右)。対応しないビデオカードが物理的に挿さらないようにするため、溝の位置が異なっている ●ユニバーサルタイプのAGPスロット(写真左)と、AGP Proのスロット(写真右)。ユニバーサルタイプのものには動作電圧を区別する溝がない。AGP Proは電源の拡張インターフェースの増設のため両端が延長されている
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