FILE 02
DOS/V POWER REPORT  Q&A COLLECTION
2002
12月号

[Q]

自宅で無線LANを導入したのですが、場所によって電波が弱くなってしまいます。何か解決策はあるでしょうか?

(渡辺健人さん)

[A]

無線LANは電波によって通信を行なうわけですが、その電波は届きやすかったり届きにくかったりします。この電波の届きやすさとは、周波数や出力、そして使い方によって異なります。現在一般的な無線LANは、転送レートが11MbpsのIEEE802.11bと呼ばれる国際規格に沿ったもので、2.4GHz帯の電波を利用します。この電波は「ISM(Industrial Scientific and Medical)バンド」と呼ばれる産業、科学、医療分野での利用を目的としたもので、出力が10mW以下であれば例外的に無線免許を取得しなくても利用できるため、無線LANでもこの周波数帯域の電波が使われています。

図2-1
メルコの外部アンテナ。指向性タイプのWLE-DA

 では無線LANの電波は、どの程度の有効範囲があるのでしょう。大抵の無線LAN製品のカタログを見ると分かりますが、互いのアンテナが見通せる場合、直線距離で100m程度、というのが一般的なようです。しかし家庭内で利用する場合には、壁や扉といった遮蔽物があるのが普通ですから、この距離は短くなります。この場合、遮蔽物の種類によって電波が届く範囲は大きく変わります。一概に「どの程度なら平気」とは言えないのですが、筆者の経験上では、木造家屋であれば壁2枚くらいや、1階と2階との間くらいであればとくに問題なく通信できるようです。

 また、マンションなど鉄筋コンクリートの場合には、壁1枚隔てた隣の部屋くらいであれば通信が行なえるようです。コンクリートの壁よりもガラスや木製の扉のほうが電波の伝達には有利ですから、まずアクセスポイント(以下AP)とクライアントとの位置関係を確認してみるとよいでしょう。壁や扉など、遮蔽物が原因で電波の受信状況が悪い場合には、APに外付けアンテナを付けることが有用な手段です。APとクライアントPCとの距離が近い場合にはAPのみでも十分なのですが、遮蔽物などの影響で電波が弱くなっている場合には、感度の点でより有利な外部アンテナを利用すれば状況が改善する場合もあります。この種のアンテナには、無指向性のタイプと指向性タイプとがあり、利用状況によってタイプを選ぶことができます。

 注意したいのは「電波が弱い」と言っても、距離や遮蔽物が原因ではない場合があることです。つまりほかの無線LANなどの電波との干渉という原因も考えられます。2.4GHzのISMバンドは、無線LAN以外に、Bluetoothなどの無線機器や各種医療機器でも使用していますし、電子レンジから漏れ出す電波もこの帯域と干渉します。また、より深刻なのは、隣家や近所で使用している無線LANとの干渉です。IEEE802.11bでは、2.4GHz帯域(2.401GHz〜2.495GHz)を第1〜14のチャンネルに分けて使用します。ただし、一つのチャンネルには、約22MHzの帯域幅が必要となります。つまり、隣り合ったチャンネル同士は、利用する電波の帯域が重なり合うため、近い距離でこれらを使用すると、相互に干渉してしまうのです。

 これを防ぐには距離を置くかチャンネルを変更するしかありません。IEEE802.11bの場合、2Mbpsの14チャンネルを除いて、互いに干渉しないようにするには22MHz以上帯域の間隔を開ける必要があります。1から13チャンネルまでは、1チャンネルあたり5MHzずつ帯域に差がありますから、前後に各5チャンネルの間隔をあければよいわけです。1、6、11、14チャンネルを用いた例を下図に示したので参考にしてみてください。

 なお最近では無線LANを使用している家庭も増えてきています。自宅で使用している電波が、ほかの家屋でも受信できてしまう可能性もあります。無線LANの電波というのは、想像以上に遠くまで届くものです。今回の質問の内容からはやや外れますが、無線LANを使用する場合には、WEPによる暗号化やMACアドレスによる接続可能クライアントの限定など、セキュリティの確保には十分に注意をすることをお勧めします。

(天野 司)

図2-2
無指向性タイプのWLE-NDA
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