FILE 04
2001年
9月号

[Q]SDRAMが非常に安くなったので、一気に512MBのメモリを買おうと思ったのですが、マザーボードによっては512MBメモリが使えないことがあると言われました。どれが使えて、どれが使えないのでしょうか?

(森脇康弘さん)

[A]

 あるマザーボードで使えるメモリモジュールとその最大容量は、マザーボードの仕様とメモリモジュールの仕様の適合性が問題になる場合と、仕様としては適合しているが実際に動作させると問題が発生する場合の二つが考えられます。仕様としては適合しているのに実際に動作しない場合、明示されていない仕様や設計上の問題がある場合と、適合している規格のマージンの違いなどの実装レベルでの問題がある場合があります。前者は、情報が開示されていれば問題を回避することが可能ですが、後者は実際にメモリとマザーボードを組み合わせて動作検証をしなければ分からない場合が少なくありません。このように、メモリモジュールとマザーボードの適合性にはさまざまなケースがあり、その数は膨大なものになります。

 

図4-1:チップセットが対応しているメモリモジュールは、搭載されたメモリデバイス(右)の種類によっても違ってくる(写真は128Mbitメモリデバイスを両面に計8枚搭載した128MBメモリモジュール)

 あるマザーボードで使用可能なメモリの種類は、そのマザーボードが使っているメモリ制御用回路によって制約を受けます。このメモリ制御用回路は通常、チップセットに含まれています。つまりマザーボードが搭載しているチップセットが分かれば、原則的にそのマザーボードと使用可能なメモリの対応が分かることになります。ここで原則的とわざわざ言うのは、チップセットが対応を明らかにしているメモリデバイス(単体のメモリチップ)やメモリモジュール(メモリデバイスを複数個実装した、RIMMやDIMMなど市販されている形状のもの)の仕様に対して、通常販売されているメモリモジュールが明示している形状や容量といった仕様が少々あいまいであることや、マザーボードが実装したチップセットのすべての機能を実現しているとは限らないといった要素があるため、仕様では動くはずの組み合わせでも動作しないといったことが起き得るからです。よって、以降では仕様上考えられる原則的なケースについて記します。

 

 メモリモジュールの仕様は、簡単に古くならないように、将来出回るであろう大容量のメモリデバイスにも対応可能になっていますから、その仕様が決まってから実際の製品が出るまでに多少時間があっても問題ありません。しかし一方で、チップセットはどんどん新しいものに変わっていくため、そのマザーボードの製品寿命と考えられる期間中に入手可能なメモリデバイスだけを対象に設計すれば、メーカー側としてはコスト削減にもなるわけです。したがって、古いマザーボードで新しいメモリモジュールを使う場合、そのマザーボードがメモリモジュールに対応していないということはよくあります。SDRAMでも、PentiumやK6シリーズのようなSocket7 CPUに対応した初期のSDRAM対応チップセットが、最新の大容量SDRAM DIMMに対応できないのはやむを得ないことなのです。ここでは現在販売されているマザーボードの範囲として、PentiumVなどのSlot1のCPUに対応した、Intelの440BXチップセット以降のものに絞ってお話しましょう。これらのチップセットと使用可能なメモリデバイス、メモリモジュールの対応を図4-2にまとめておきます。

●図4-2:チップセットとメモリの対応
メーカー チップセット名称 対応するメモリの種類 メモリ規格 メモリデバイス 最大メモリ容量 メモリモジュールあたりの最大容量
Intel 440BX   SDRAM PC100 16/64/128Mbit  1GB 256MB
440GX   SDRAM PC100 64/128/256Mbit  2GB 512MB
i815   SDRAM PC100/PC133 16/64/128/256Mbit 512MB 512MB
i820   DRDRAM PC600/PC700/PC800 64/128/256Mbit  1GB 512MB
i840   DRDRAM PC600/PC800 64/128/256Mbit  4GB 512MB 
i850   DRDRAM PC600/PC800 128/256Mbit  2GB 512MB
i860   DRDRAM PC600/PC800 128/256Mbit  4GB 512MB
VIA Apollo Pro133   SDRAM PC100/PC133 〜256Mbit 1.5GB 512MB
Apollo Pro133A   SDRAM PC100/PC133 〜256Mbit 1.5GB 512MB
Apollo KT133   SDRAM PC100/PC133 〜256Mbit 1.5GB 512MB
Apollo KT133A   SDRAM PC100/PC133 〜256Mbit 1.5GB 512MB
AMD AMD-750   SDRAM PC100 〜256Mbit 1.5GB 512MB

 図からも分かるように、現在一般に流通しているマザーボードの中でも、チップセットに440BXチップセットを使ったものは512MB SDRAM DIMMには対応していません。また、実際に440BXチップセットを使っているマザーボードで、512MB SDRAM DIMMを使った場合は、256MBまで認識するのか、あるいはまったく動作しないのかは、マザーボードによって違います。

 また、440BXチップセットのメモリモジュール1枚あたりの最大容量は256MBですが、256MB SDRAM DIMMを購入する際も注意が必要です。最近の256MB SDRAM DIMMは、256Mbitのメモリデバイスを8個搭載することで256MBとなっているものが増えています。440BXチップセットのサポートする最大メモリデバイスは128Mbitですから、このようなメモリモジュールも使用できないのです。すでに440BXマザーボードをお使いで、256MBのSDRAM DIMMを増設するといった場合も気を付けておいたほうがよいでしょう。つまり、440BXチップセットを搭載したマザーボードで1GBのメモリを搭載するには、128Mbitのメモリデバイスが16個載った256MB SDRAM DIMMを4枚使用しなくてはならないのです。なお、初期の440BXチップセットには64Mbitのメモリデバイスまでしか対応していないものもあるので、マザーボードのマニュアルなどを確認しましょう。

 安定性を重視する自作ユーザーにはまだ人気のある440BXチップセットですが、もうこれは3年以上前の製品です。その頃は、256MBのSDRAM DIMMですら、一般ユーザーが簡単に購入できる価格ではありませんでしたから、512MBを2枚で1GBのメモリというのは、あまり現実的ではなく、それほど気にする人もいなかったはずです。すでに512Mbitのメモリデバイスを使用したSDRAM DIMMも一般的になってきた現在、440BXチップセットはすでに過去のものとなりつつあると言ってよいでしょう。

 また、512MB SDRAM DIMMを購入する際に気を付けたいのは、440BXチップセット搭載マザーボードだけではありません。現在のSocket370マザーボードの主流とも言えるi815/E/EPチップセットを搭載したマザーボードでは、最大メモリ容量が512MBとなっているため、512MB SDRAM DIMMを購入した場合、いかにDIMMスロットに空きがあろうとも、それ以上のメモリは使用できないのです。

 なお、最近では512Mbitのメモリデバイスを搭載したものも登場してきていますが、i815チップセットのサポートするメモリデバイスは256Mbitまでとなっています。しかし、現行のPC用のメインメモリとして使うことを考慮して、1枚で複数バンク(メモリアクセスの単位となるまとまり)構成を採用しているものが多くあります。これは、メモリモジュールレベルでマザーボード側からは256Mbit以下のメモリデバイスを使用しているように見えるよう設計されているのです。こういったタイプの場合は、512Mbitのメモリデバイスを使用したものでも、i815/E/EPチップセットなどで問題なく使用できます。

 440BXチップセットを除けば、現在のマザーボードで使用されている主要チップセットはチップセットレベルでは512MB SDRAM DIMMへの対応は可能です。しかし前述のように、メモリモジュールの構成と、使っているチップセットの仕様、さらにマザーボードの設計、これらが正しく適合していなければ、メモリモジュールは正しく認識されて動作することはできません。つまり、どうしてもケースバイケースで問題が発生する可能性があるわけです。大容量のメモリは、購入する前にご自分の使用するマザーボードのチップセットだけでなく、実際に対応をうたっているメモリデバイスとメモリモジュールを、マニュアルなどで確認しておいたほうがよいでしょう。

(Ta 152H-1)

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