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IDE HDDの表記について


[Q]Ultra ATA/66とUltra DMA/66の意味は同じだと思うのですが、表記が違うのはなぜですか?  それからATA-3とかATA-4といった表記も見ますが、これらの表記との関連はどうなのでしょうか? また、最近出たUlt ra ATA/100とUltra ATA/66+の違いも分かりません。それぞれの意味と関係を教えてください。

(吉 安輝さん)
[A]

  IDEに関する一連の規格は、いわゆる業界標準(正式な規格ではないが、事実上標準となっているもの)と呼ばれるものから始まっています。

 これは、先に製品が作られ、その後なし崩し的に作られた仕様が標準規格になったとも言えます。

 実際、IDEの略称ですら、Integrated Device ElectronicsやIntegrated Drive Electronicsなど、複数の見解があるくらいです。

 そして、すでに広まったIDEを標準規格化するというところからATA(AT Attachment)というHDDの規格が誕生しました。

 よって、IDEの現在の正式名称はANSI(American National Standards Institute:米国規格協会)によって承認された“ATA”であり、このATA規格が見直されるたびにATA-2、ATA-3という名称が規則的に与えられるようになりました。

 

 このように規格化が実際の製品の登場よりも後になるということは、PCの世界ではよくあることで、現在でもIDE HDDは製品の登場のほうが規格の成立よりも先になることのほうが多いのです。

 とはいえ、仕様のまったくないものを製品化することは不可能なので、いずれ規格として承認されるであろう仕様を先行して作り、それにもとづいて製品開発が行なわれるということになります。

 

 たとえば、IDEに新しい仕様を加えたものとして、IDEを拡張したものという意味でEIDE(Enhanced IDE)と呼ばれるものがありましたが、EIDEに含まれる内容の全体がATAとして規格に盛り込まれたのは、ATA-2を経てATA-3になってからのことですし、EIDEに含まれた転送時に使用するプロトコル=ATAPI(AT Attachment Packet Interface)に関しては別の規格となっていました。

 

 

図4-1:ATAとDMAの使われ方 HDDなどの製品(上)には“Ultra ATA”といったATAが含まれる名前を、BIOS上で転送モードのことを指すのであれば“Ultra DMA(下:UDMA)”といったDMAという言葉が使われている

 Ultra ATAという用語自体は、IntelとQuantumが“Ultra DMA”という転送方式を提唱し、HDDメーカーが製品に採用する際に、従来のATAを超えるものという意味で“Ultra ATA”と名付けたのが始まりです。

 最大転送速度33.3MB/sに対応した高速転送モードとして、当時はUltra ATA/33という呼び方はなく、さらに上位の規格として66.7MB/sの最大転送速度に対応するUltra DMAモードの登場により、従来のモードと区別する意味で、急遽“/66”を付け、Ultra DMA/66と言うようになりました。

 このとき同時に従来の規格もUltra DMA/33と呼ばれるようになったのですが、これはUltra DMA/66が提唱された時点で、いまだUltra ATA/33の規格ですらANSIの承認が下りていない状態だったためで、HDDメーカー側はそれまでのUltra ATAを“Ultra ATA/33”、Ultra DMA/66に対応したものを“Ultra ATA/66”と言うようになりました。


 このように、次世代のATA規格として承認される前に製品化が進んだEIDEやUltra ATAといった仕様では、ANSIの承認がおりるまでは、あくまで暫定的な名称となります。このため、Ultra ATAのHDDについてはその転送モードであるUltra DMAをサポートしたデバイスという意味で、転送モード名までもがあたかも製品や規格名のように使われることもありました。 

 

 図4-2にATAの規格と各転送モードを表にしてみました。

図4-2:ATA規格と転送モード
転送方式
モード
転送サイクル
(ns)
最大転送速度
(MB/s)
ATA-1
ATA-2
ATA-3
ATA/
ATAPI-4
ATA/
ATAPI-5
ATA/
ATAPI-6
PIO (8bit)
0
600
3.3
1
383
5.2
2
240
8.3
3
180
11.1
4
120
16.7
シングルワード DMA (16bit)
0
960
2.1
1
480
4.2
2
240
8.3
マルチワード
DMA(16bit)
0
480
4.2
1
150
13.3
2
120
16.7
Ultra DMA
(16bit Double Rate)
0
240
16.7
1
160
25.0
2
120
33.3
3
90
44.4
4
60
66.7
5
40
100.0

 一般的にはATAという言葉が含まれる場合は規格全体を、DMAという言葉が含まれる場合には特定の転送モードのことを示すように区別することもできます。

 ただ、Ultra ATA/33と言った場合でも、それが「ATA/ATAPI-4」規格そのもののことなのか、その中で規定されている「Ultra DMAのモード2のデータ転送モード」のことを示しているのかは使われ方によって変わってくるのも事実です。

 

 前述のように“Ultra DMA”が製品の規格名に使われることもあったわけですが、その後正式に転送モード(Ultra DMA モード0〜5)や、転送モードやプロトコル名称を含めた包括的な規格(ATA/ATAPI-4〜6)の名称が定められたため、現在、“Ultra ATA/100”もしくは単に“ATA/100”などと呼ばれるのは、転送方式Ultra DMAのモード5に対応した製品に対して、HDDメーカーやチップセットメーカーが分かりやすいように名付けた、HDDのインターフェース名と考えるとよいでしょう。

 よって、現在では“Ultra DMA/100”といった転送方式を絡めた呼び方はされません。


 Ultra ATA/100とUltra ATA/66+はほぼ同じ内容を示していると考えてよいのですが、正式規格化されたものが微妙にデファクトスタンダードと異なることはよくありますから、あえてUltra ATA/100と言わず、Ultra ATA/66+という用語を用いる場合は、それが正式規格に100%準拠するかどうか分からないというニュアンスを多分に含んでいるとも考えられます。

(Ta 152H-1)
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