HP200LX日本語化キット 開発秘話

第1回 LXとの出会いと日本語化への軌跡

TEXT:寺崎和久、関谷博之

 この連載は、HP 95/100/200LXというアメリカ生まれのマシンが、ユーザーの手で日本語化され、それが市販ソフトとして発売されるまでを追ったものである。
 まるでパソコンの黎明期のように、LXユーザーはなにもかもを自分たちの手で作ってきた。
 その熱気あふれる歴史は、LXを知らない人にとっても興味深いものだと思う。 前回予告したとおり、今回は HP 95LX(以下95LX)の日本語化の歴史について紹介する。日本語のマニュアルさえついていなかった95LXで、どのように日本語を表示させ、どのような経緯で日本語エディタやfepが作られたのだろうか。


■HP 200LXとは?

 Microsoftが去年の9月に発表した「Windows CE」の登場で、今年はモバイルコンピューティングが一気にブレイクしそうだ。しかし、Windows CE誕生の何年も前から、地道に使われ続けている携帯パソコンがある。それが本連載の主役、米Hewlett-Packard社(以下HP社)のLXシリーズだ。
 LXシリーズは、初代の95LXにはじまって、100LX、200LXと世代交代してきたが、その設計思想は一貫している。筐体の小ささと長時間の動作を実現するために、高速なCPU、カラー表示、大容量ディスクなどは思い切って切り捨てるというやり方だ。それにもかかわらず200LXが快適に使えるのは、このハードの仕様に合わせてソフトが作り込まれているからだ。
 それでは、200LXの特徴を簡単に紹介しておこう。

●ポケットにむりなく入る大きさと重さ

 200LXの最大の特徴は、パソコンの機能を手のひらに乗る大きさに凝縮したことである。大きさは幅16×奥行き8.6×厚さ2.54cmで、重さは312gしかない。サブノートでさえ毎日持ち歩くのはつらいが、200LXなら常に携帯するのも苦にならない。

●乾電池で長時間動作

 単3アルカリ電池2本だけで、200LXは約20時間も動作する。ノートパソコンの多くが2時間程度しか動作しないのと比べると、驚異的なバッテリー持続時間である。しかも、乾電池はコンビニエンスストアや駅の売店で簡単に手に入るので、出先で不意に電池が切れても心配ない。さらに普通のノートパソコンと違い、電池交換のあともリブートなしに、先ほどまで続けていた作業を続けることができるのだ。

●完成度の高いPIMソフト

 200LXは、スケジューラ、住所録、データベースなどの個人情報管理ソフト(いわゆるPIM=Personal Information Manager)を標準で搭載している。これらは、電子手帳の同種のソフトと比べても、抜き出た使いやすさを持っている。

●パソコンならではの高い拡張性

 軽くて電池の持ちがよく、PIMを搭載したマシンというと、ZAURUSのような電子手帳も候補になる。だが、200LXは電子手帳と違い、MS-DOSの動くパソコンである。VZエディタなどのDOS/V用のソフトが動作するため、それらを追加していくだけで、200LXはどんどん便利になる。こういった拡張性の高さは、電子手帳ではまねのできないところだ。


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